昨日も明日も暇

日本語弱者が頑張って文字を書いた

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猫を飼って14年になります
私が小学校1年生の時に母親が近くの森で猫を拾いました
2日で6匹拾いました
初日に拾ったのはララくんとヒメちゃん。ララくんは人懐っこいので母親が抱き上げなくても勝手についてきました。ヒメちゃんは鈍臭いのであっさりと母親に捕まえられました。
その後に拾われたのはクーすけ。
母はそのとこを友達に言いました。
翌日、その友達が同じ森から段ボールを持ってきました。「重さからして1匹入っている」と言って。
3匹入っていました。クロくんとハチくんとクチュくんと名付けられました。
さらにその翌日、同じ森でもう1匹見つかりました。
その子は友達が持って帰りました。ラスト と名付けられました。

クチュくんはお母さんのお乳が忘れられないのか、クロくんの首輪(首が小さすぎたのでカラーゴムで代用していた)をずーっと舐めていました
だからクロくんの首輪だけボロボロになりました


私は大学3年生になりました。猫は14歳になります。人間の年齢にすれば72歳だそうです。

72歳のララくんは、どこが悪いのか存じ上げません(ちゃんと聞き忘れた)が、半年前に貧血や咳、食欲不振で病院に連れていってからみんなと違うご飯を食べています
5kgそこらあって、走るとお腹のお肉が揺れていたララくんはガリガリになりました
ここ最近はご飯も食べるようになり、3.4kgまで増えました。よかった

私が高校2年生の時、クチュくんが10歳の時、クチュくんが熱を出しました
病院に連れて行き、検査をしてもらいました(猫は人間とは違って口がきけないのでやたらと検査をしなきゃならない)
検査を終えて家に帰ったら目が見えなくなっていました
夜間の救急病院に連れて行きました
片方の目は全く見えなくなっていて、もう片方は微量ながら光だけ感知できている、とのことでした
猫の鼻に手を近づけると、顔を寄せてくるのが普通らしいのですが、目が見えないクチュくんの鼻に手を近づけても何もしてくれないのです
先生がクチュくんの頭の上からボールを落としても、目で追わないのです
クチュくんと目が合わないのです
どうやら腫瘍があるとのことでした
本当に腫瘍があるのかは検査をしないと分からないけれど、腫瘍が見つかってもなす術がないとのことでした
絶望とはこのことを言うんだなあと思いながら目が見えないクチュくんを連れて家に帰りました
そんなクチュくんの隣には常にクロくんがいました
赤ちゃんの時、散々首輪をしゃぶられていたクロくんは、10歳になり、目が見えなくなって毛づくろいすらしなくなったクチュくんの身体をずっと舐めてくれていました
その翌々日、クチュくんが家を走り回っていました
クチュくんと目が合いました
クチュくんの鼻に手を近づけたら顔を寄せてくれました
目が見えるようになっていたのです
何故、急に目が見えるようになったかは全く分かりませんが、それから今日までずっと目が見えています

私は大学3年生になりました。
火曜日の一限の民法再履の授業で「期限を定めない債務」についてのお話を聞きました
特に期日は定めないが、必ず履行請求される債務のとこです
例えば「雪が降った日に雪かきをしてもらい、その労力に見合った賃金を支払う」みたいな

今日は2017年5月17日です
3日前、クチュくんは左鼻から鼻血を出しました
2日前、クチュくんは左鼻から鼻血を出しました、ベロをしまい忘れていました。食欲はありますし、熱もないようです。ただ走り回ることをしなくなりました。隣にはクロくんがいます。
昨日、クチュくんは左鼻から鼻血を出しました。ベロをしまい忘れていました。寝る時に目を閉じていませんでした。隣にはクロくんがいます。
今日、クチュくんはベロをしまい忘れていました。
寝る時に目を閉じていませんでした。隣にはクロくんがいます。

調べたら、人間と違って猫はなかなか鼻血を出さない生き物だそうです
片方からのみ鼻血を出している、ということは鼻に腫瘍がある可能性が高いということらしいです
猫がうっかり舌をしまい忘れることはよくあるそうで、そんな猫の写真集も出ているらしいですが、舌先に触れるとしまうのが普通らしいです
クチュくんの舌先に触れてみましたが、しまいませんでした。どうやら口腔内に腫瘍があり、しまえない状況だそうです。
先述した通り、腫瘍があるか調べるのには検査が必要で、それには10万円かかるそうです
また、検査したところで治す手立てがなかったり、腫瘍を切除すると顔がいくらかなくなってしまうそうです。
まあ、癌が進行すれば顔が変形するそうなのでどちらにせよ同じことですが。
目を閉じない理由についてはこれ以上調べたくなかったのでまだ分かりません。知りません。

生まれて20年が経ちます。6月12日には21歳になります。
そんなに経つのに身内を亡くしたことがありません
だから、死というものがなんなのかも分からないし、死を看取ることがなんなのか、どうにもならないものに向き合うことが何を意味するのかが全く分かりません。
クチュくんは検査には連れて行かないつもりです。
だから、クチュくんの顔がいつか変形してしまうかもしれない。
バイトから帰ってクチュくんを見たらヨダレを垂らしているかもしれない。
クチュくんの顔が腐ってしまって異臭を放ち、他の猫が近寄ってくれなくなるかもしれない。
死んでしまうかもしれない。

こんな漠然とした不安を抱えながら日々をやり過ごすことになりました

「死」とはなんだろう
毎日日記を書くことにします

5月17日
クチュくんは癌であると断定した。ソースはネットの情報だけで、検査はしていないけど本当だと思う
母親はとても泣いていた
クチュくんの隣にはクロくんがいた
ララくんが太って嬉しい。
前日、ドラマに沸きすぎて寝られなかったので今日は12時近くに起きた。授業を全て休んだ。
泣く母親を置いてバイトに行った。
バイト先で会った初対面の人とピラニア3Dの話をしたり社員さんと痴漢の話をしたりして帰った
猫を飼っている先輩にポロっとクチュくんの癌の話をしたが、口から出したところで実感が湧くわけでもないと知った
帰り道、白シャツを着た推しがベースを弾く動画が上がっていてあまりの美しさに道端で大きな声を出した。伊達眼鏡をかけた推しが自撮りをあげていた。1時間ほど沸いた。猫が死んでしまっても、こんなことで沸けたらなあと思った。
「猫が死んでしまった」ことと「推しが美しいこと」を切り離してそれぞれの感情に忙しくなれたら、と思った。
なんなら猫が死んでも一生実感が湧かないままやり過ごせたら、と思う。切に思う。
家に帰ってリビングへ直行し、クチュくんを撫でた。
鼻血は出ていなかったし、舌も出ていなかったが目を閉じていなかった。いたたまれなかったので、目を閉じてやった。目が見えているか不安になり、鼻に手を近づけたい衝動に駆られたが怖くなり、何も見なかったことにして、1人寝られずに背中を引っ掻いてくるハチくんを撫でた。